アンパンマンの憂鬱
サザエさんの作者の長谷川町子氏は、生前サザエさんのキャラクターが広告に使われることをキャラクターのイメージを損なうとして拒み続けてきました。
しかし氏の死去後、磯野家一族は保険やらJAやらさまざまな広告媒体に登場。
権利運営を任された人たちが、氏の意図にそぐわぬ形で使用許可を出してしまっています。
演出についても、ほとんどいやらしいと言っていいほどの家族イデオロギーの押し付け的な広告表現を目にします。
死後直後からこうした使われ方が始まったのを見ていて、作者は可哀想だなと思っていました。
やなせたかし氏もアンパンマンを起用する広告媒体は入念に選んでその演出方法にも関わっているのは、想像に難くありません。
現にアンパンマンを起用する商品は、子供向けの衣類・文具や、鉄道のラッピングなど、すくなからず公共性・公益性のあるものに限定されているものと思われます。
アンパンマンというイコンの公共性を作者は強く意識していたでしょう。
アンパンマンやバイキンマンが保険や健康食品や不動産やパチンコの画面に登場することなど、やなせたかし氏は絶対に許可しないと思います。
長谷川町子氏に関して、生前、氏の意図にそぐわない形での磯野家一族への出演を求める声が大変に多く、断るのも精査するのも大変だったと言う発言が残っていますが、アンパンマンも言わずもがなと思います。
キャラクターのイメージを守るには、見えない努力がたくさんあることと思います。
アンパンマンの広告使用に関して、もしガイドラインが残されていなかったり、権利者が恣意的な運用をするのであれば、きっとまずフッ素入りの子供向け歯磨き粉のCMに使われるかなと思います。
フッ素が人の体にとって害毒が認められているにもかかわらず製薬会社がそれを押し隠している悪魔の商品であることを考えると、もう胸が痛いです。
アンパンマン大好きな私の2才の姪っ子が、アンパンマンがテレビで警備会社のCMに出てきて不審者をアンパンチする様子や、飲料のCMで子供たちと一緒にペットボトル入りのお茶を飲んだりしている様子を見たら、きっとアンパンマンに対する夢や憧れが少し違ったものになってきてしまうと思います。
キャラクターのイメージってごくごく繊細なものだと思います。
どのような形でアンパンマンに関する権利が残されたかはこれから知ることになると思いますが、子供にとって憧れであり続けて欲しいと強く願います。
公共性・公益性の高いキャラクターは国が管理するくらいのことがあってもいいと思いますし、あるいは著者の遺志を守るための法整備が明らかに足らないと思います。