イメージキャラクター

ミュシャが描いた女性像群というのは、産業史において世界初の「イメージキャラクター」だったと思われます。
ミュシャは1894年偶然製作したポスター「ジスモンダ」で主演のサラ・ベルナールを描き伝説的なデビューを果たしました。これによって演劇の興行を大成功させ、ミュシャの名を世間に知らしめました。
これは商品より広告が先に表へ出た例の中で、女性像をあしらったものとして、その成功の規模を含めて世界初のものでした。
以来ミュシャはご存知の通り女性像やその装飾品を書き続けています。ミュシャの製作の傾向は、演劇や展覧会の告知ポスターや、お菓子や煙草や化粧品などのパッケージや広告など、商品としての性格が非常に強いものです。ミュシャ本人は芸術家としての修練を重ねましたが、今も昔も一番人気があるのはポスターです。
それらは独立した一枚絵ではなく、常に商品が先にあったものでした。しかし広告のイメージがそれを追い越しました。まずイメージがあり、商品がそれについていくという形のビジネスプランがここに発見されたということです。現代の美容・化粧品会社などで当たり前になっている方法は、ここに偶然、しかし生まれるべくして生まれました。