「くまのプーさん」

ディズニーの昔のアニメは大人の即物的な欲望に染められていないので(そのように配慮されて作られています)幼児にも見せたいと思えます。「くまのプーさん」にしても、60年代に作られた3部作と90年代以降に作られたものでは全く毛色が違います。新しいものは説教臭く、言葉が多く、最後は必ず学校の先生のようなプーさんの小言で物語が締められます。大人の魂胆が見え隠れしていて、私は見ていてイヤな気持ちになります。
最初の3部作は進歩も反省も無い頭の足りない食いしん坊なプーさんを温かく見守るだけのアニメです。何の教訓も無いこと=合理性から外れていることが重要です。それが心の余裕を広げるのだと思います。教訓とは合理性そのものです。子供の心を焦らせても仕方ないと思います。
くまのプーさんは映像も音楽も素朴で美しく、特にラストのクリストファー・ロビンが子供時代にそっと別れを告げるシーンなどは幼児の夢の儚さに息が詰まります。現在の執拗なキャラクタ商品展開にはうんざりですが、ディズニーのくまのプーさんは素晴らしい作品です。