放射能疎開

koikeakira2011-06-20

放射能疎開と家事手伝いのため、臨月の妹のいる岡山県備前市の山寺にごやっかいになっています。

ここでの私の仕事は、朝6時の鐘つきと、家事全般。
萱葺き屋根の家屋がポツポツ見えるだけの山間に、鐘の音を響かせる早朝は、声に出さずとも叫びたくなるような気持ちよさです。
思いっきり、深呼吸ができます。空気のおいしさ、極上です。

ここの線量は総じて低いです。
私のGM管式ガイガーカウンターでは、放射線不検出の時もあります。
近くの漁港では、東京では食べられなかった野菜や瀬戸内海の魚をたくさん頂いて、東京の家族と友人にも送りました。久々に食べる喜びを噛み締めています。

みんなに逃げてとは言えないし、言うつもりもない。
ただ、内部被爆だけは気をつけて、ゼロに近づける努力を常にしていて欲しい。うるさくうるさく言ってきたし、これからも言い続ける。

いままでさんざんお世話になっていたはずの関東の農家さんたち、そのたくさんの顔を思い浮かべるだけで、罪悪感と、無念さとで涙が出てくる。でも、今は、娘に食べさせるわけにはいかない。子供たちに、若い人たちに食べさせるわけにはいかない。

いつも巨大なサニーレタスを作ってくれる千葉の農家のおばあちゃん。
何十年も続けている極上の地鶏のお店のお姉さん。
今、とても悲しい思いをしている。出口の無い暗闇へと突き落とされてしまっている。

子供のころ、たくさん遊んだ公園の、恐竜の形の遊具。
ここで自分の娘にも遊んでもらうと、子供時代を世代を超えて共有できて、とても幸せ。
今、そこで放射線量を測っている。近づいちゃだめだと娘に言って聞かせている。

こんなに私の好きだった世界を汚されてしまっているのに、なぜか怒りは湧いてこない。
東電や原発利権絡みの政治家へ、恨みの感情が出てくるのが自然だと思うのだけれど、不思議と、心に湧き起こる祈りばかりです。

妹の旦那さんである住職が、私と娘と妹と、滞在中の妹の友達(動画で太鼓を叩いている人)のために、護摩を焚いてくれました。

http://www.youtube.com/watch?v=MfhIUN7v5Hs

人類が、すべての核の廃絶を選択できますように。
痛みと悲しみを、未来へつなげられますように。