粘膜的生活

私の娘が小さかった頃、母乳を飲み、毎晩べったりと皮膚をあわせて寝ていた時に感じていたこと。
赤ん坊の肌は、大人の肌のようにまだ「皮」ではなくて、まだ粘膜なのだ。皮膚はあくまで粘膜の延長にある。
あの頃、常に娘の薄い膜のような皮膚に触れながら、生活が粘膜を中心に回転していたように感じていた。じっとりと濡れた愛の世界。
母子関係というのは、一般的なイメージのように柔らかく暖かく、清らかなものではない。
ベタベタとしていて、けっこうエッチだ。そして母と子の利害は一致しない。
また、母と娘の快楽は娘の成長とともに断たれる運命にある。
男性はそれを再び女性の体に求めることができるが、女性はできない。レズビアンを実験的にやってみたことはあるが、その時すでに私はもう女性の体に何を求めたらいいものかわからなくなっていた。