韓流にものおもう

koikeakira2004-09-21

今多量に国内に投入されている韓国ドラマが、例のドラマを口切りにブレイクする前、韓国のエンターテイメントとしては映画がよく日本に紹介されていた。それがあのドラマの日本国内で流行るための下地をつくったと思うが、さらにその前、今から5、6年前、K-POPと言われる韓国のポップスがごく一部の層(音楽関係者)を獲得しはじめていた時期がある。(そのころから、韓流が日本において獲得するファン層は「おばさん」だった。)私がH.O.Tを知ったのこはそのころだ。
カビ臭い、うすら少女漫画なビデオクリップの演出や、あからさまにGLAYのマネをして大いにコケている衣装/化粧、上半身ばかり露出の多いボーカルなど、痛々しいビジュアル面を補って余りある高度な音づくりをしていたのがH.O.T。
徴兵によってイデオロギーを失い解散してしまった、国民的アイドルグループであるH.O.Tの音づくりは、リーダーであるムン・ヒジュンに引っ張られてきた。
当時の韓国内外の技術者の粋を集めたサウンドミックスの実力は、トランス人気に寄りかかった現在の日本のメジャーと比べても肩を並べるどころかおおいに上をいくものと私は思っている。(もちろんそれはレコード会社とリスナーの質の問題でもある)
ムン・ヒジュンは作詞/作曲、シンセにプログラムをマルチにこなす。カメラ目線でネイルアートをこれ見よがしに見せつけてくるビジュアル面でのセンスはともかく、この人の音づくりは、私のフェティシズムにぴたりとはまる。痒い所に手が届き、時々コチョコチョとやられ、音にイカされてしまいそうになる。実際、聞いていると「あ゛ー、もっともっと!」なんて叫んでしまったりする。
特にラップがすばらしい。このあいだ教授もやっていたけれど、韓国語のラップは語と語がはっきりしていて、実に太く仕上がる。ハードコアに乗せると絶品。テクノ好きもハードコア好きもヒップホップ好きも、同時に満足させることができる音なんて他に聞いたことが無い。
とにかくムン・ヒジュンは私が最も好きなサウンドクリエイターの一人なのだが、愛してやまない彼の曲「8.15」の歌詞対訳を読んで慄然とした。
「過去のことを覚えておくことなんてお前らにはできないんだろ。お前らにはまるで関係ないことだもんな。ムネの奥から込み上げるような憤怒と、張り裂けそうな悲しみを、どうして忘れることができようか。むごたらしく死んでいった我が民族と、流れ散る涙。母と、その母たちが耐えなければならなかった屈辱。その無音の叫び。8.15。お前らに復讐をする。お前らを踏んで立ち上がってやる。」
8.15とは、言うまでもなく1945/8/15だ・・・。韓国においては独立記念日になる。
嗚呼、ムン・ヒジュン、私は何もしていないし、見ていないよ。どうか憎まないで欲しい。でもあなたは日本に生まれただけで罪だと言う。会って話せば、私たちはきっといい友達になれるのに。
反日感情や教育がどれほど根深いものかあまりよく知らない。でもこれから日本に輸出するために反日的な要素がエンターテイメント作品から排除されていくことは間違いないと思う。願わくはそれが「輸出用」として特化されないことだ。