芸者をやめて

koikeakira2004-10-21

仕事をきれいさっぱりやめてせいせいした。
萎えないうちに今の気持ちを書いておく。
欲渦巻く花柳界にはくだらない小競り合いが多すぎる。あそこでは小物も大物もそれぞれの手を打つ。定石に慣れた連中は打つ必要がないところでも陣を布さずにいられない。(私もすっかり定石を覚えてしまった)見据えた相手の一挙一動を疑うことの悲しさ。
可笑しくても笑えないし、泣きたいほど頭にきても泣けない。
着飾ってた芸者衆の蛸部屋姿はお粗末なこと。「きれいどころ」なんて嘘だらけ、本当に綺麗な女性はどこへいってもひとにぎり。

でもとにかく芸者を始めたころ期待していた以上のものは手に入った。
向島流和服の着こなし。大量の和装小物。
人の器に入っているお金の匂いと、身分・人格に不相応のお金の匂いの嗅ぎ分け。(器に入りきらないお金は、器を圧して成長させないし、臭い。健康でない。)
良い会社と、駄目な会社の情報。お酒の知識。
根回しのちょっとしたハウツー。

期待外れだったのは鳴りもの。
向島の中でも歴史ある料亭なのに、ただのオママゴトだった。
これは、座敷遊びができなくなった客が悪い。端唄のひとつも歌えない客が、筒の本当の音なぞ知るはずがない。聞いてて恥ずかしくなれる人がいない。上の上を出さないと満足しないような、人生を楽しむことを知る人は、料亭には来ないのだろうか。「働く人」と「楽しむ人」を分けるものは、経済力より本人の性質で決まると見て間違いないと思う。

さてこれから。
どうしようか。
呆然。
年内には仕事を始めなければ餓える。こんどはもっと王道で社会と深く関わりたい。