釣りにまつわる雑学

(ばすたつ)
バスは食ったらウマイんですよ。 ただし、水がキレイで魚食ってるヤツだったかな。 バスはマズイってよくいうんですけど、肉食魚がマズイのは、食ってるエサと水がマズイからなんですよね。
(小川)
猫や犬、コイなんて、日本にいなかった動物も、驚異的に日本の生き物を駆逐してその生息域を拡大しましたよね。 それが今や日本の文化にとりいれられ、日本のものとして誰も疑問にすら思いません。 バスはまだ異質ですが、バスが日本を食い尽くしても、それも仕方のないことにしか見えません。バスにはそれほどの力はありませんが、すでに水草なんて世界中が同じ世界に近い状態です。でも誰も問題にしません。それは知らないから。無知こそが罪なのに。

余談ですが釣りには、人間(特に男性)の凶暴性を和らげる効果があるようです。アメリカでは刑務所の更生などにも活用されています。 狩猟本能が間違った方向へ行くことをただしてくれるのでしょうか。 実際僕も体験したのですが、「食わない生物を殺してはいけないが、人間は殺してもいい」みたいな極端な性格をうまくなだめて、比較的安全な今の大人に育ててくれました。 釣りしていなければ二人くらい殺していると断言できます(笑)。 でもこれって体験した当人でないと説明しづらいもんなんですが。
(koikeakira)
釣りに凶暴性をやわらげる効果があるというのは非常に興味深い話です。アメリカはレジャーのルールもしっかりしていますし、そういった効果があるのは想像に難くありません。 しかし、日本式の釣りでは効果は認められないのではないかと思います。かっこ良くルールを守る、というのが理解される土壌が日本にはできていません。ハレとケの国です。レジャーは「ハレ」であり、ハレではハメを外すべきだという遺伝子の記憶があります。
(小川)
リリースした魚がどうなるかを研究していたのでご紹介します。
●リリース後の致死率
魚の身体の構造からまず見てみると、変温動物ですから魚の体温はその魚のいた水の層(深さ)の水温とほぼ同じです。 つまり、30度もあるような人間の手が触れるということはその魚にとってはヤケドと同じ。魚のヤケドは治りにくいし、伝染病にかかりやすくなりますから非常に危険な状態です。 よく釣り人の投書や抗議について読んでいると「釣った魚を蹴って水に戻す人がいた。最低だ、やさしくリリースを」などと書いてあります。 ところがこの人たちが言う「優しいリリース」というのは、魚には優しくないベタベタ触るリリース。魚からしてみれば、「活かすのなら、蹴ってでもいいから早いこと戻してくれ、さもなくば食えよ」ってなモンです。
いくつかの水産試験所や僕の参加した実験では、水で冷やしていないそのままの手で触った魚は30〜70%(実験環境によって変わりますが)もの致死率が出ます。
逆に針をくわえたままの魚を、触らずに糸を切って逃がした場合は、どの実験でも致死率はほぼ0%(他の要因で死んだ個体もいますが)でした。ちなみに実験後の調べでは、7日経過後には針は勝手に外されていました。ただし、針を飲み込んだ個体の場合は違うと思います。飲み込んだものの中には、外れておらずに苦しんでいるものもいるでしょうし、死ぬ個体も多くいるでしょう。
●魚は針の痛みを感じるか
多くの魚の口や表皮には痛みを感じる神経がないので、針が刺さって痛むことはないようです。だからこちらの引っ張る方向と反対方向へ走ったり、暴れたりするわけですが。痛みを感じると思われる部位(体内など)に針を刺すと、引っ張る方向へ走って抵抗を少なくしようとする個体が少し増えます。おそらく痛みを感じているのではないだろうかと思います。
●キズの治癒能力
次に治癒能力ですが、針が刺さった傷は、ひどい場合一度化膿します。化膿は飼育環境下と自然環境下では治癒に掛かる時間が違いますが、治りにくい飼育環境下でも水質がよければ7日〜15日、水質がわるければ12日から20日ほどかかる場合もありますが、これが原因で死ぬことはあまり考えられません。 致死率が飛躍的に上がるのは飲み込んだ場合とエラに刺さった場合です。特にエラは危険で、致死率が10〜70%以上あると推測されますが、方法が見つからずにいまだ実験の機会を得られていません。 いずれにせよ、化膿するとウイルス性の魚病にかかる機会が増えるので、危険度が少し増えると考えられます。
自分の実験に基づいた、致死率の低いリリース(誌面等で紹介しているもの)
★釣り上げた魚を触らず、針をペンチで掴み、そのままひねって水に戻す。出来る限り水から出さずに外すのが理想だが、足場などが危険な場合は空中から落とすことになる。当然水面までの落差が高いと致死率は上がる。 ただし、一見魚には乱暴な扱いをしているように見えるのと、大きすぎる魚には出来ない場合がある。
★テレビ、雑誌での美しいリリース
釣れた魚を手で押さえ、ペンチで針を外す。魚をしっかり両手で固定しながら水にいれ、自力で泳ぎ出すまで身体を固定してあげる。 水に手を浸して温度を下げきって濡らした上でなければ致死率は高いが、抗議は来ないし魚はしゃべれないので推奨されている。

以上です。
(小川)
(リリースによる)致死という問題において言えば、漁業で取れた「売り物にならない魚」は全部投棄ですから稀少魚であろうがほとんど全部、いったん氷漬けにされて100%死にます。投棄魚の重量比は海の定置網の場合、漁場で捕れる魚の10〜60%にものぼって釣りの比ではない莫大な数の単純殺戮なので、環境問題で取り上げたら大変なことになるでしょう。
僕は実習でこの投棄魚調査に参加したときに目の当たりにし、個人で付き合いのある日本の各漁協と交渉しましたが、どこも取り合ってくれませんでした(笑)。