悪しきはoh人事、そして運動会

チャイコフスキーの弦楽セレナードのエピソードを知っている人は少なくないと思います。数年前のこと、とあるコンサートが終わり、やまぬ拍手に応えてたっぷり間を取ってからアンコールに入った瞬間、会場内のあちこちからクスクスと笑い声が…。なぜだ?指揮者ならびに演奏者は困惑します。せっかくのコンサートが台無しです。CMのせいでした。出だしのフレーズがコミカルなCMで使われていたために、それに観客が思わず反応してしまったのです。演奏者たちは知るよしもありません。演奏そのものに非は無いのに。
また、「ラッパ吹きの休日」。このメロディを聞いて、まず運動会をイメージする日本人の方が多いのではないでしょうか。音楽を鑑賞しようという気持ちになるのはきっと少数派です。
ある曲に対するイメージは一度できてしまうと、滅多なことでは修正されません。それどころか、ある曲と出会った経験とはその人にとっての曲そのものと言えます。ラッパ吹きの休日から運動会のイメージを払拭するには、コンサートなどでこの曲と出会い直さなければなりません。しかしラッパ吹きの休日は何度も何度も運動会と一緒に現れるのです。