幻想の田舎

koikeakira2005-01-30

私は江戸っ子なので、田舎がありません。残念なことに畑で食べる野菜の味も知らないし、旬の風物詩が送られてくることもないし、方言も喋れない。(少し江戸弁で、たまに「ひ」が「し」になるくらい)また、田舎の村社会というものも全く知りません。
田舎の地域社会について噂ばかりよく耳にします。主婦はズボンにエプロンが制服で、スカートを着ると「どうしたの?」と言われるとか、学生は他にやることがないので性体験が早いとか、若者は夜は光がある自販機の前に蛾と一緒にたむろすとか、子供の時から親の権力によって子供の間でのパワーバランスが決められるとか、ありそうな話から全くのデマまで真偽はともかく、あまりプラスのイメージでは語られません。生活のゆるやかさを犠牲に、濃密で閉塞的な人間関係から抜け出しているのだと信じたい人の心理でしょうか。
そんなわけで、私が言う村社会とは幻想のようなものですが、田舎に育った人でも村社会の幻想というのを持っていることがあります。現代的な忙しい生活に対するアンチテーゼとしての村社会は、実際の村社会よりむしろ強くその存在を人々に思い出させるのではないでしょうか。