郵便局示談

同じ区域の担当に怪人物がいます。勤続18年の女性で、驚異的な記憶力を生まれ持った方です。都内のとある町の、全ての住所における住民の名前と転居の履歴が彼女の頭には入っています。見たことがある人については、その顔も。
「このはがきどうしよう、あて名しか書いてない」と私がウロウロしていると、「誰宛なの?」「鈴木太郎さんという方です」「○○町の1ー1ー1の101号室に住んでた人ね、去年××町の2ー2ー2の202号室に引っ越したけれど、転送頼まれてないから還付してください」「山田二郎さんは?」「還付です」「佐藤三郎さんは?」「△△の3ー3ー3ー303に転送」「すごい!どうなってるんですか!?」「長くやってれば自然に覚えるわよ」「いやいやいや!」