「贈与」と「ポトラッチ」(蛇足)

今人類学で人気沸騰中のキーワード「ポトラッチ」。ご存じかもしれませんが、これは北米民族の儀式で、友人や親戚の結婚などのお祝いに一家散財するまで度を超した大判振る舞いをし、考えつく豪遊蕩尽の限りを尽くし、果ては自分の家に火をつけたり生活必需品であるボートを壊したり召し使いを殺したりするという自殺行動に出、それが贈り物だという驚くべき風習の名前です。
問題なのは、何故そんなことを繰り返さなければならないのか。やめればいいじゃん。でもやめられない。何故か。他人から受けた「贈与」の印象は強烈で、人はそれを自分の内に留めることはできない。人は他人から与えられたものを必ず他の人に与え返すという性質を持つ。それによって社会は流動循環を続けるというお話です。