grateful death

倫理的に正しい自殺があるなど、思いもしなかった。
自殺は矛盾の骨頂であり、いつでも非難されるべき悪行だと信じていた。
また、死はすべて悲しく、喜ぶべき死などどこにも無いと信じていた。
でも、彼が死んだと聞いて、私を含む多くの人間が喜びと解放に泣いて叫んだのだった。
彼の自殺に限っては、結果として、自殺そのものが善行だった。