"The Three Blind Mouseketeers"

短編「めくらのねずみの三銃士」も、ステレオタイプな盲のねずみを愛嬌たっぷりに描いていて、決して盲人を貶める意図があったようには見えず、むしろ盲そのものにスポットライトを浴びせています。陽気な映画です。

ステレオタイプ

さて、そのアニメの中でディズニーは特定の人たちをステレオタイプ化してコミカルに描いているわけですが、そのほとんどは、よく言われるような差別的な感情にまかせて描かれたものだとは見ていて感じません。ちびくろサンボの廃刊の時にも「ステレオタイプ…

時代と表現

ところで昔のディズニーの短編には軍人、囚人、盲人、黒人、土人、はたまたドナルドのアマゾンで現地民をつかまえてサーカスに売る話など、今ではとても公開できないような大胆な内容のものが結構たくさんあります。ディズニーは対戦中には国策映画もたくさ…

「くまのプーさん」

ディズニーの昔のアニメは大人の即物的な欲望に染められていないので(そのように配慮されて作られています)幼児にも見せたいと思えます。「くまのプーさん」にしても、60年代に作られた3部作と90年代以降に作られたものでは全く毛色が違います。新し…

女の子だからプリキュア見せたくない

大きいお兄さんお姉さん向けの視線を受けて子供向けのアニメが絶滅してしまい、自分の子供に見せたいと思えるアニメは古いものしかありません。特に女の子は、幼いうちからアニメのキャラのように可愛く鑑賞される存在として飾り立てなくてはならないという…

ディズニーの短編アニメ かつて盲人は三銃士だった

ディズニーの古い時代の短編アニメが好きで、よくヤフオク等で探して集めています。

フィギュアスケート

たまには余汰話でも。解説者が下品で下世話で大袈裟で五月蝿いので、野球やサッカー等等のスポーツは全く見ないのですが、フィギュアだけは大好きです。浅田真央の優勝は素晴らしかった!年齢制限でオリンピックに出られない15歳が国際大会トップとは。ベ…

猜疑心

世の中を知ること自体が辛いと書いて世知辛い。賃金格差が広がり、社会に猜疑心が溢れ出しています。疑い合う人間関係は、お互いを疲弊させるだけで損耗を招きます。戦争とは、貧乏人同士が傷つけあうことによって金持ちがますます富むための装置です。時々…

政治について語るのは馬鹿馬鹿しい

消費税が上がるそうで。 で、8%では足らないなんて言っている。 社会保障制度維持のためだという免罪を高々くアピールしているがどうして一律8%なのか、不思議すぎる。 8%はヨーロッパの消費税に比べれば安いと思ってしまいそうだけれど、食料品の消費…

唯一無二

マスメディアの流す平淡なセックスシンボルに右へならい、自分の性を規定された範囲内に決めつけた凍りついたセクシャリティの持ち主に、私は恐怖とも怒りともつかないマイナスの感情を起こされます。私自身は体に障害やきわめて珍しい特徴を持っているわけ…

異形の微笑み

手塚治虫作品を読んでいると、性の可能性を限界まで試してみたいという欲望について、手塚治虫は考えていたのだと感じます。性の領域のさいはてから投げかけられる妖しい微笑に、手塚治虫は恐れることなく目を合わせていました。その視線を感じた時、自分の…

手塚治の危ない話

手塚治虫を偉大だと感じる最大の理由の一つに、性の探究があげられます。手塚治虫作品には何らかの境遇によって普通の人とは決定的に違ってしまった女性たちと、それに欲情する男たちが非常によく出てきます。体が透明な女性、障害を持つ女性、獣人、異常性…

ニジンスキー

バレエダンサーといえば完璧なプロポーション。間違いありません。でも過去にたった一人だけそうではないダンサーも存在していました。ロシアバレエ団のニジンスキー。 背は低くずんぐりとしていて、異様に発達した太腿。その太腿で、「舞台の端から端まで飛…

新品好き

そもそも華僑は新しもの好きで、車や電化製品などの試作品を高いお金を払って手に入れようとするので、華僑のお金持ちは企業にとってこのうえないスポンサーになるそうです。また芸者時代にこんな話も聞きました。注文を受けて別荘を新築し、いざ受け渡す段…

消費される処女

華僑の処女好きは有名なので、ビジネスなどで華僑の人々と関わる方は一度ならず聞いたことがあると思います。 華僑の間には処女と交わると金運が上がる、またさらに寿命がのびるという俗説があり、これが今だに深く信じられています。私は直接行ったことはな…

処女膜は体の外にある3

前回まで私小説のようなものを書いたのは、華僑の話の前置きとして面白いかなーと思ったからでした。

処女膜は体の外にある2

私の住んでいたマンションは、潰れたラブホテルを改築した奇妙な建物だった。ところどころに名残りがあり、天井の一部はガラス張りだった。私はちょうどその下にダブルベッドが来るように置いていた。そこに寝て天井を見ていると、蜘蛛の巣のまん中にいる蜘…

いきなり私小説です

中学生の頃、私はある男の子がずっと好きだった。無邪気でいたずら好きな子供らしい性格に、優れたカンをもてあまし、それがいつも彼自身を苦しめているような子だった。議論になれば敵はおらず、よく返答に詰まった教師たちが生徒達の前で面子を保つために…

コーランはどうなの

さて、ここまで書けば避けて通れないコーランですが、翻訳禁止です。日本語訳はありません。しかしコーランがどうして神の言葉そのものだと信じられているかというと、それはその文学性の高さゆえで、人間には到底到達することのできない筆致だからと言われ…

秩序と混沌

ユダヤの聖書がもたらすのは整然とした秩序の世界です。代々受け継がれることに大きな意味があり、永遠を思わせることでしょう。ある規則に従って動き、そのまま永遠に変わらない社会・世界に生きることを想像してみてください。人間が今後もずっと今と変わ…

人生の辞書

人生において悩みや問題にはち合った時、聖書をひくと自分が何をすべきか、本に導きを求めることができます。子供は成長にあわせて聖書を読みすすめ、そのページにはその年代に合ったクエッションとアスクが待ち伏せていたかのように書かれています。 今手元…

ユダヤ教聖書

ユダヤ教聖書は基本的に門外不出であり、ユダヤの子供には洗礼と同時に一人一冊与えられるそうです。それを一人で何十年も使っていくそうです。さぞや立派な装丁で、使い込んだ味わいが何とも言えない素敵な本となるでしょう。孫が祖母や祖父からその一冊を…

聖典のある暮らし

どうせわけがわからないだろうからと、パラ見で終わりの予定だったマハーバーラタを読んでいる所を、ネパール人の知人に見つけられてしまいました。すると「すごいね!勉強家だね!あなたってそういう人だったの!素晴らしいわ!最高!」不意打ちの大絶賛。…

データを少し

Ka¨the Kollwitz(aにウムラウト) ドイツ人ドイツ生まれの女性。生年1867、没年1945。絵と版画と彫刻を残した。 下の最初の画像について一言。題は「夜の戦場」。息子を求めて累々たる屍の面ひとつひとつにカンテラをかざす老婆。

母、ケーテ

話が逸れました。政治的な意義や作為は抜きにして、戦争と切り離して見てもケーテの作品は素晴らしい。ケーテは戦争を描こうとはしませんでした。反戦のポスターを頼まれた時は数枚描きましたが、どれもこれも特定の誰かを悪だ善だと指差すものではなく、貧…

血の碑

ケーテの暗黒は、ナチス後のドイツの深い反省を象徴するものであり、現在のドイツ社会の内省に満ちた成熟を文化面から支えているといいます。ケーテの作品は、多くの血と涙を流した経験の碑です。二度の大戦がどれほど深く人々を傷つけたのかが刻まれていま…

素人にはおすすめできない

ケーテ・コルヴィッツを万人におすすめすることはできません。ケーテの作品から低く響くうめき声は、見る者の心を引き裂きます。綺麗な女の涙が好きな人や、砂糖菓子でできた悲劇が好きな人には、ケーテの作品は正視に耐えられません。見なかったことにして…

戦慄

つくば県立近代美術館にて開催中のケーテ・コルヴィッツ展に行きました。コルヴィッツは前回ご紹介したバルラハとは反戦の同志であり、また芸術家としてのよきライバルでもあり、互いの作風に深い影響を与え合ったと聞きます。私はこの展覧会にバルラハの面…

評価

バルラハの彫刻はもちろん、戯曲の評価もヨーロッパではとても高く、この時代のドイツの戯曲で今だに上演されるのはブレヒトとバルラハだけだそうです。邦訳がまだ一つも無いので、このバルラハ展を機会にどこかで出してくれないかなあと思っています。

アニメチック

バルラハの作品には技巧を見せびらかすような筋肉の描写などかけらも無く、単純な(もちろん、しかし計算し尽くされた)曲線で構成されており、人物の頭身が低めです。下の画像を見て頂ければわかる通り、アニメチックですらあります。貧しい人々の飾り気の…